エヌビディア 肯定的評価相次ぐ

エヌビディア(NVDA)の株価は4月13日も続伸。終値は前日比+3.09%の627.18ドルとなっています。この上昇は4月12日に発表された二つのニュースがマーケットで好感を持って迎えられたことによるもの。

まず、同社の年次グラフィックス技術会議でジェンスン・フアンCEOがデータセンター向けのセントラル・プロセッシング・ユニット(CPU)に初めて進出することを発表。

投資家説明会ではコレット・クレスCFOが当四半期の売上高がガイダンスの53億ドルを上回り、暗号通貨マイニング製品の新製品で1億ドルの追加売上を計上する見込みであることを明らかにしました。

ほとんどのアナリストが、この日の発表に肯定的な反応を示しています。

Truist Securities社のアナリストであるウィリアム・スタイン氏は、同社が修正した当四半期の見通しは、年内にさらなるアップサイドがある可能性を示唆していると述べ、エヌビディアの幹部が、同社のビデオゲーム用チップの需要が引き続き増加し、発売当初から問題となっていたプロセッサの不足が緩和され始めることを期待していると指摘しています。

レイモンド・ジェームズ社のアナリスト、クリス・カソ氏は、同社が2023年に発売を予定しているハイエンドのデータセンター用チップ「Grace」でCPU市場に参入することに注目。CPU市場のハイエンドな部分をターゲットにしていることが、エヌビディアの方向性を示しているとしています。同氏は、エヌビディアはインテルの苦境を最大限に利用して、データセンター市場でより大きなシェアを獲得しようとしていると予想しています。

ニュー・ストリート・リサーチ社のアナリスト、ピエール・フェラグ氏は異なる見解を示しています。このデータセンター用チップが獲得できるのは、ビッグデータセンターシステムに搭載されるエヌビディア製GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)に関連するビジネスのごく一部に過ぎないとし、このチップは、アドレス可能な市場を拡大するものではなく、潜在的な機会はGPUビジネスよりも「桁違いに小さい」と述べています。

BMO キャピタル・マーケッツ社のアナリストであるAmbrish Srivastava氏は、同社のビデオゲーム事業がさらに強化されているように見えると書いています。Srivastava氏は、同社のAmpereチップの発売は、前世代のチップの2倍の速さで行われていると指摘。同氏のデータによると、エヌビディアの現在の顧客のうち85%がまだアップグレードしていないとのことです。

Atlantic Equities社のアナリストであるIanjit Bhatti氏はソフトウェアもエヌビディアの戦略の重要な部分を占めていることに注目。ソフトウェアを直接収益化することをますます目指しており、企業顧客向けのAIおよびデータ分析ソフトウェアのスイートであるNVIDIA AI Enterpriseを発表したことを紹介。NVIDIA AI Enterpriseは、年間サポート料を伴う永久ライセンスとして提供されるか、サブスクリプションの提供として提供される予定で、経営陣はエンタープライズソフトウェアが同社にとって数十億ドル規模の機会であると見ていることを案内しています。

オッペンハイマー社のアナリストであるリック・シェイファー氏は、4月13日のメモの中で、彼のチームは現在、同社の自動車関連の売上を「成長のための新たな柱」と考えていると述べています。昨年、自動車部門の売上が23%減少したことは、主にCovid-19パンデミックの影響によるものだとし「2027年までに80億ドルの売上パイプライン」を経営陣が強調していることを指摘しています。同氏は、メルセデスとの契約が、他の自動車メーカーとの同様の取り決めにつながる可能性が高いと見ています。


シェイファー氏は契約の内容を具体的に書いていませんが、エヌビディアとメルセデスが結んだレベニューシェア(収益分配)契約のことを言っているのだと思われます。この契約はクルマの利用者が自動運転ソフトなどを購入・更新した際に得られる収益を、両社で分け合うもので、自動車メーカーとエヌビディアの双方が利益を得られるモデルで業界に変革をもたらすものとしてエヌビディアの自動車部門のシニアディレクターであるダニー・シャピーロ氏は期待しています。

シャピーロ氏は日経クロステックに掲載されたインタビューにおいて以下のように述べています。

「現状、クルマの価値は買った時点が最高で、使うほどに価値は下がっていく。新しいクルマの時代が来ると、車両の価値や機能は買った時点が最低ラインになるのだ。ソフト更新で能力が拡張されてクルマはどんどん良くなる」

「ソフトを車両にインストールするたびに、新しい収益が生まれる。クルマの寿命が続く限りサブスクリプション(継続課金)などで収益が立てば、ビジネスとして相当な可能性がある」

「価値の中心がソフトになるので、ハードは高級車から低価格車まで同じでよくなる。標準化した高性能コンピューターや各種センサーを車両に搭載しておき、多くの機能を搭載してハイエンドにしたければ、ソフトの代金としてユーザーに支払ってもらう形だ」

「こうしたビジネスモデルを前提とした車両を、ダイムラーは2024年から量産していく計画である。すぐに大きな収益規模になるわけではない。それでも、1台当たりの売り上げは数千ドルほどになっていくだろう。長期的な視点で、利益率の高いソフトによる収益基盤の構築を目指していく」

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