エバーコアISIのアナリストであるアミト・ダリヤナニ氏が3月16日に調査レポートを発表。アップル(AAPL)をアウトパフォーム(買い推奨に相当)とし、目標株価を163ドルから175ドルに引き上げています。
126ページに及ぶ詳細なレポートの中で、同氏は「今後数年間にわたり、一桁台半ばの売上と10台半ばのトータルリターンを維持できるポジションにある」とアップルに対するポジティブな見方を披露。
2020年のアップル株は+81%とS&P500の5倍のリターンを記録した後、最近は株価の失速が懸念されていますが、同氏はこの懸念は見当違いだとしています。
ウォール街のアナリストのコンセンサス予想は、2021年期に1株当たり利益が4.45ドルというものですが、ダリヤナニ氏は2025年9月期までに1株当たり7ドル以上の利益を達成できると予測しています。
アップルは、利益率の拡大、周期性の高いハードウェア事業をスムーズに行うようにすることなどでサービス部門の収入を2020年の540億ドルから2025年度には1000億ドルにすることができると指摘。
iPhoneユーザーへのApple WatchやAirPodsの普及率が比較的低いことから、ウェアラブル事業は2020年度の310億ドルから700億ドルへと拡大できると考えています。
更に、ヘルスケア、広告、自動車、拡張現実・仮想現実の4つの分野が新たな成長源になるとしています。
そして、アップルは2025年度までに5,000億ドル近くの自社株を買い戻すと考えており、これは現在の同社の市場評価額の25%に相当するそうです。同社がキャッシュポジションの縮小に関心を持っていることから、買い戻しのペースはフリーキャッシュフローの112%まで加速すると見ています。
サービスや資本配分に力点が移って行く中で、これまでと同じ尺度でアップルの株式を評価するのは最良の方法ではないとのこと。既に顧客の手に渡っている製品を通じて、サービスやウェアラブル事業などを伸ばし、それによって収益をあげるアップルの能力を投資家が評価するにようになれば、PERが30倍台半ばから後半の倍率が新しい正常な状態になるとダリヤナニ氏は考えています
アップルの株価は消費財メーカーのように取引されるべきであり、利益ではなくフリーキャッシュフローの倍率で評価する方が理にかなっていると主張する同氏。
それを前提とすると、コカ・コーラ(KO)やペプシコ(PEP)などの消費財メーカーや、LVMH、エルメス・インターナショナル、エスティローダー(EL)などの高級品メーカーと比べて、アップルの株価は「かなり割安だ」とダリヤナニ氏は書いています。