アップル 著名アナリストがAirPodsの出荷減を予測

アップル製品のリーク情報で知られるTFI アセット・マネジメントのアナリスト、ミンチー・クオ氏が3月15日に発表したリサーチノートの中で、アップル(AAPL)のAirPodsの出荷台数が、ワイヤレスステレオオーディオ市場における競争の激化もあり、2021年には減少すると予測しています。市場はまだ成長しているものの、焦点はより安価な代替品に移っているというのが同氏の見立てです。

2021年のAirPodsの出荷台数を30%から35%に下げて、7,500万台から8,000万台とし、2020年と比較して10%から15%減少すると同氏は予測。これは、ウォールストリートのアナリストによる今年のコンセンサス予想(1億1,000万〜1億2,000万台の出荷で25%〜30%の増)を下回る数字です。

同氏の調査によると、2021年の第1~3四半期におけるApple AirPodsの出荷台数は、前年比で約25%減少するとのこと。第3四半期に量産が開始されると同氏が予想しているAirPods 3の需要が予想を上回ったとしても、第4四半期の売上高は前年同期比で横ばいにとどまるに過ぎないとしています。また、AirPods Maxの出荷台数は控えめで、今年の出荷台数は約100万台になると予測しています。

2020年第4四半期のTWS市場(True Wireless Stereoの頭文字)は前年同期比で約45%成長したものの、AirPodsの市場シェアは前年の約40%から30%に低下したとのこと。クオ氏は、低価格帯のワイヤレスオーディオ製品の売上が急速に伸びていると述べています。TWS製品の売上トップ10のうち半数以上が50ドル以下の価格であるのに対し、AirPodsの価格は最も安いものでも159ドルです。

AirPodsの初期の成功は、簡単なBluetooth接続と高い品質によるもの。アップルはこの2つの要素で優位性を保っているものの、競合他社が追いつき、価格を下げていると同氏は述べています。AirPods Proはアクティブノイズキャンセリング機能など、他のAirPodsに比べて改善された機能を備えていますが、価格が高い(249ドル)ため、消費者の関心が薄れているとも指摘しています。

「アップル製品の競争力は、ハードウェアだけでなく、ハードウェア、ソフトウェア、サービスのエコシステムを統合して提供することにある」とするクオ氏ですが、AirPodsのソフトウェアとサービスのエコシステムの中核をなすSiriの競争優位性が大きくないため、競合他社が徐々にユーザーエクスペリエンスを向上させ、同時に低価格戦略を打ち出してくると、エコシステムによる優位性が保てなくなり、AirPodsと競合他社との差が縮まっていると述べています。また、HomePodおよびHomePod miniの出荷台数が予想を大幅に下回ったのも、同じ理由によるものとしています。

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