AI市場の拡大とともに、エヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった半導体株が注目を集め続けています。しかし、AIが急成長するほど存在感を増している課題があります。それが「電力不足」です。AIデータセンターが必要とする電力は膨大で、すでに米国では供給が追いつかないケースが増えています。
米投資情報誌バロンズ(Barron’s)は、2025年11月14日付の記事で、この電力問題が今後のAI投資に大きな影響を与える可能性を指摘しました。本記事では、報じられた事実と、それを踏まえた投資家視点での考察を整理します。
AI成長を止めかねない「電力不足」というボトルネック
バロンズの記事によると、米国ではデータセンターの急増によって電力需要が急激に伸び、地域によっては供給能力が逼迫しています。その結果、電力価格が上昇し、データセンター運営コストも重くなっています。
一方で中国は安価で豊富な電力を確保しており、このエネルギー優位性がAI競争の新たな差異要因となる可能性があると指摘されています。
AI向け半導体への需要は依然として強いものの、「データセンター側が電力の制約によって新たな設備を増設できない」という構図が生まれつつある点は無視できません。
半導体株に潜むリスクとは?
半導体メーカーの売上成長は、最終的にはデータセンターの拡張ペースに左右されます。仮に高性能GPUの供給が順調でも、電力不足でデータセンターが増設できなければ、半導体側の成長にもブレーキがかかります。
これは「エヌビディアの成長が止まる」という意味ではありません。しかし、電力というインフラ要因が、今後の売上予測や株価評価(PER)に影響を与える可能性があるという、新しい視点を投資家に提示しています。
次に来るのは「電力インフラ株」の時代か
バロンズの記事では、AI電力需要の増加によって恩恵を受ける可能性がある企業として、次の銘柄が紹介されています。
・エクスパンド・エナジー(EXE)
・クアンタ・サービシズ(PWR)
エクスパンド・エナジーは米国有数の天然ガス生産企業で、クアンタ・サービシズは発電所・送電網の建設や保守を担うインフラ企業です。
これは一例にすぎませんが、AIブームの恩恵が「半導体 → 電力インフラ」へと広がる可能性が浮き彫りになってきたと言えます。
特に伸びると考えられる分野は次の通りです。
・送電網の強化・保守事業
・天然ガス関連企業
・再生可能エネルギー企業
・データセンター向けオンサイト発電
AIの利用拡大が続く限り、電力を供給する企業にも新しい成長機会が生まれます。
AI投資を考えるなら「エネルギー株」も視野に
AI時代の主役が半導体であることは疑いありません。しかし、その半導体を動かすための「電力」が不足すれば、AIの進化そのものが鈍化します。
AI関連株とともに、電力・エネルギー分野の企業をポートフォリオに含める視点は、今後ますます重要になると感じます。AIブームの第二章では、半導体メーカーだけでなく、電力インフラ企業が存在感を高める可能性があります。
AI投資の次のテーマとして、エネルギー・電力インフラ株に注目することは非常に合理的な選択と言えます。
出典:Barron’s “AI Data Centers Need Juice. The Next Hot Stocks Give It.”(Nov 14, 2025)
*過去記事「AIインフラの次の波は“電気” ウォール街が見逃せない11銘柄」
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