AI半導体市場でエヌビディア(NVDA)を猛追するアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が11月11日に開催された「アナリスト・デー」で、非常に強気な中長期の業績見通しを発表しました。株価は年初来で既に2倍近く上昇していますが、この新たな目標はさらなる上昇の根拠となり得るか注目が集まっています。
EPS「20ドル超」の衝撃
特に注目されているのは、同社のCFOが示した「年間EPS(1株当たり利益)20ドル超」という目標です。これはウォール街のコンセンサス予想(2028年で約10ドル)を大きく上回る水準であり、非常に野心的な数字といえます。
この内容について、米国の投資情報誌バロンズが2025年11月11日付の記事で詳しく報じました。
バロンズ誌が報じたAMDの新目標
・売上高成長率:今後3〜5年間で年平均35%以上の成長を目指す(2025年の売上340億ドルをベース)
・データセンターAI事業:同期間で年率80%以上の急成長を見込む
・営業利益率:現在の24%から35%以上へ大幅に改善する見通し
(出典: Barron’s “AMD Stock Jumps on Outlook. AI Growth Is Boosting Margins.” 2025年11月11日)
この強気な見通しの背景には、AI分野における爆発的な需要があります。スーCEOは、AIデータセンター向けGPU市場が2028年までに5,000億ドル規模に拡大すると予測し、AMDがその中核的な供給企業になると述べています。
オープンAIとの大型契約
AMDは先月、オープンAIとの大規模な長期契約を発表しました。報道によると、オープンAIは合計6ギガワットに及ぶAMD製GPU(MI450)を導入する計画であり、2026年後半からその第一弾(1ギガワット分)が稼働を開始する予定です。
この契約は、AMDがAIハードウェア分野で確固たる地位を築こうとしていることを示す象徴的な動きといえます。
投資家にとっての意味
これまでAI市場では「エヌビディア一強」という見方が支配的でした。しかし、オープンAIのような巨大テック企業がAMDのGPUを本格採用し始めたことは、市場構造が変化しつつあることを示しています。
AIモデルの学習や推論には膨大なコストがかかるため、企業が複数の高性能GPUを選択肢として持つことは自然な流れです。AMDの営業利益率目標「35%以上」は、AIチップの販売比率が大きく高まることを想定したものと考えられます。
リスクと展望
もちろん、この計画にはリスクも存在します。エヌビディアとの技術競争や世界経済の動向次第では達成が遅れる可能性もあります。それでも、AMDがAI市場で主要プレイヤーとしての地位を確立するための具体的な道筋を示したことは、投資家にとって大きな安心材料といえます。
「EPS 20ドル超」という目標は、今後の業績成長を測る重要な指標として注視すべきポイントです。
*過去記事はこちら AMD
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